とけているばしょ

tolt_santyokuのやったゲームの記録

Cross Lords ソロプレイレポート

この春もゲームマーケットに行ってきました。

そういうわけでDomina Games様の新作『Cross Lords(クロスローズ)』 (と他にもいくつものゲーム)を買ってきたわけです。こいついつもDominaのゲームの記事書いてんな。

Blade Rondoシリーズのファンなので、外伝作なんて銘打たれたら買うしかない! 箱に描かれたヴェロニカさんが素敵です。

おまけでもらった《封厄のアゲート》のプロモもきれい

この記事は、おしゃれなタロット風カードで戦うゲーム、Cross Lordsのプレイレポートです。

記事内ではカード名を《0/終焉》のように表記します。また、Blade Rondoシリーズに関わる用語が一部登場しますが、知らなくてもゲームプレイには影響しません。Cross LordsはBlade Rondoシリーズを持っていなくても楽しめます。

基本システム

Cross Lordsは外伝作ということで、7本の剣を選んで戦うBlade Rondo本編とは全くシステムが異なり、「星めくり」というゲームで遊びます。

このゲームは相手の20点のライフを削り切ることを目的として、手札にある0~10の数字または「α」が書かれたカードの数字を組み合わせて戦うゲームです。

プレイヤーが作ることができる組み合わせは3通りです。

  • 合計10を作ることで「星くず」を生成する
  • 3枚の連番を作ることでそのうちの1枚を「昇華」する
  • 3枚の同値を作ることでそのうちの1枚を「昇華」する、または2点のライフを得る

星くずは作ったターンに使い切る必要がありますが、これが関わらないと相手にダメージを与えられません。昇華したカードは盤面に残り続け、カードの効果を利用することができるようになります。

星くず生成(左)、連番で昇華(中央)、同値で昇華(右)

例えば画像の例では、左は4+6で10を作って星くず生成、中央は[4,5,6]で連番を作って昇華、右は[6,α,7]で同値を作って昇華しています。一番右のやつがどう見ても同値に見えないかもしれませんが、《α/外》のカードは連番か同値を作る際に好きな値として扱うことができ、赤いカードは数字を±1して扱うことができるため、全て6です。

昇華したカードが持つ効果には数字を変更することができるものが存在するため、明らかにおかしいのにすべて同じ値、ということもありえます。とにかく数字をいじりながら星くずを作ったり昇華を行って戦う必要があるということです。

あとは星くずを3つ集めると「星霊」という毎ターン1点ダメージを与えてくれるカードを昇華できたり、ライフを減らすと「楔」というカードを獲得できたりしますが、より詳しいルールはこの記事では解説しません。解説動画やGigazineの記事あたりを見てください。本当はルール解説も書いてたんですが力尽きました。

手札管理

Cross Lordsは手札をどう消費するか考えることが戦略に直結します。

ゲーム中は毎ターン山札から4枚のカードを引くことができますが、手札上限は3枚です。溢れた分は捨てなくてはなりません。運悪くカードを消費できない手札になっていない限りは使っていかなければ大損です。

序盤は特に手札を使いにくいので1枚くらいは手札上限で捨ててしまうことがあるかもしれませんが、後半に向けて数字を操ることができるカードを昇華しておくときれいに手札を使えるようになります。

インチキ.png

上のカード群は両面待ちのスジ数字を操ることができる効果を持つカードで、どれを設置しても強力に手札消費をサポートしてくれます。上のカード以外にも、合計7でも星くずにできるというルールを追加する《7/血紅星》を取得すると星くず生成がしやすくなるため、これらのカードは適当に星くずにせず昇華できると後が楽です。

プレイヤーキャラクター

ソロプレイではアドバンテージが大事

ソロプレイでは、「星めくり」を遊ぶ6人の魔女の一人となって残りの5人と戦います。 6人の魔女はそれぞれ個別の効果を持っていますが、2人対戦ではともかく、ソロプレイでは効果の強さが大きく異なってきます。 以下は上の画像の3人の魔女をプレイした所感です。

アナスタシア(左)はドロー枚数の増加によってアドバンテージを常に生み出すため非常に強いキャラクターです。戦う相手によって適切な盤面を素早く整えることができ、このゲームの楽しさをわかりやすく体験することができるため、はじめにプレイするならアナスタシアをおすすめします。後述しますが、自分自身と戦う必要がないことも利点です。

リュドミーラ(右)は2人対戦では星霊を集めて無料で星くずを出すインチキをしたり、少しタメて一気にダメージを出したりと楽しそうではありますが、ソロプレイでは強みを出しにくいキャラクターです。手札消費が荒く盤面が整わないと効果が使いにくい割に、盤面が整うのであればそれはそれで他のキャラクターでも勝てているという状態になりやすく、効果を活かすことが難しい印象を受けました。

フィスティ(中央)は2者のちょうど中間くらいの性能で、毎ターン1点ダメージというまあまあ強い能力を適度に使えます。ソロプレイでは回復を行う相手がいるためあまり意味がない場合もありますが、星霊を増やすという目標がプレイ前から見えているのでプレイ方針も立てやすいです。Frost Veilの《アイシクルドロップ》と《回遊するルフラン》でぺちぺち殴るのを思い出しました

他のキャラクター(マルファ、シルルーゼ、ヴェロニカ)については割愛しますが、以上のようにソロプレイのキャラクター性能は大きく差が出ることがわかるかと思います。

ソロプレイの戦略

「あなたのライフを0にする。」

6人の魔女たちは異なった戦い方をしてくる相手なので当然異なった戦い方が求められます。とくに上の画像の3人はわかりやすく戦い方が分かれます。

アナスタシア(左)は一切攻撃をしませんが、7ターン目を迎えると強制的に負けます。ヴェロニカをプレイヤーとしていても《絶命棄却のダイヤモンド》は使えません。とにかくダメージ効率を重視して、《4/外法使い》(自分に2ダメージ、相手に4ダメージ)なども利用して殴り続ける必要があります。必ず高速で殴り切る必要のあるキャラクターはアナスタシアだけなので、最序盤からダメージだけを考えたプレイが必要になります。

マルファ(中央)もテキストだけを見れば7ターン目に負けますが、同値3枚によって2点のライフを回復できるルール上、8ターン以降も耐え続けることができます。一方、マルファは2ターン目までに勝手に2点のダメージを受けるので、6ターン目までに残りの18点を削り切るプレイを取ることもできます。最序盤でどちらのプレイをしておくか決めておく必要があるため、キャラクター性能や初期手札と相談して戦略を変える必要があります。

ヴェロニカ(右)は毎ターンの回復によって非常に長い時間耐えてきます。 しかし、テキスト通りにダメージを受けても8ターン目を迎えることができる上、どうやっても最大ダメージが4点までしか出ないので、1ターンに4点のライフ回復を行うことができれば必ず耐え続けられます。削り切ることより耐えることに重点を置いたプレイが求められます。

初見ではすべての敵が非常に強く感じますが、プレイ方針を定めることで勝利しやすくなります。1プレイごとに正しく戦えたか、それとも運が悪かっただけなのかを考えるのも楽しいところです。

ソロプレイ所感

すべてのキャラクターでソロプレイを行いましたが、3ターン目までの動きがもたつくと誰が相手でも圧倒的な不利を背負います。5戦のうち3勝できればクリアとなるゲームとはいえ、運によって負けてしまうのは少々腹立たしいものです。

良い方向に捉えるなら、3勝さえできればいいので引き運が悪く負けてしまっても割り切れるというのもあります。別に次の勝負で勝てればよいのです。

もたつくとすぐ不利になってしまう一方で、勝ちに近づく状況を素早く作れればどんどん有利になっていきます。 特に《9/劇団》(8枚昇華していたら追加2ドロー)による大量ドロー体制を整えて無限に回復を続け、ゆったり殴る戦い方は非常に気持ちよく、圧倒的な行動力が得られるため気に入りました。

このツイートは《9/劇団》4枚(8ドロー) + アナスタシア(5ドロー) + 星霊3枚(1ドロー)により毎ターン14枚ドロー&3点ダメージでヴェロニカをちまちま殴っている様子です。捨て札を山札に戻すのがめんどくさい以外は最高でした。 対アナスタシアではこれだと勝てないのでこれ一辺倒ではもちろんだめですが、アナスタシアを選ぶとアナスタシアと戦わなくていいので、この方法ですべての敵に勝利できました。

個人的なソロプレイにおけるプレイヤーキャラクターの強さは、最強がマルファ、2番手にアナスタシア、次いでヴェロニカとフィスティ、一番下にリュドミーラとシルルーゼというように感じました。 基本的に勝てる状況に素早くできるかの時間勝負なので、盤面の構築が早いキャラクターが強いです。

カードイラストと数字

ここまでプレイの話でしたが、そんなことよりこのゲームはカードイラストが最高です。Blade Rondoシリーズのイデアたちがそれぞれタロットになっており、並べているだけで幸福感を得られます。《2/愛》(リリアンヌ)、《9/劇団》(シェオル)、《10/聖域》(ミゼル)あたりが特に好きです。《8/王》(ドリアーナ)も好きだし《6/反旗》(レモニカ)も好きです。全部好きです。

《9/劇団》(シェオル)のイラストがドール含めてとんでもなく良い

《2/愛》と《9/劇団》はBlade Rondoのカードのコスト(《慈しむウィスパー》及び《フィナーリア》)が、《10/聖域》は《マナティックルピナス》よろしく、ライフを半分にすることとこのゲームで残るライフ数が効果も数字も対応しているのもわかりやすいですね。

このように数字とイラストはある程度対応しているのですが、いくつかわからないものもありました。

はじめに考えたのが、《1/占星術師》のイラストはなぜメヴィエリアラなのかについてでした。ブレイドロンド 剣の伝承4 (《調停するカンパネラ》の伝承)の印象が強く、8のほうがふさわしいと感じたためです。

しかし、同じくメヴィエリアラが描かれた《徴税剣》の方では1コストで錬成するとダメージ時の追加効果で金貨1つを獲得でき、《1/占星術師》は1ダメージと1ドローの効果を持つため、《徴税剣》をモチーフとしているものとして納得しました。

そのように効果とイラストと数字の対応について考えていましたが、《3/剣術使い》(ディーヴァ)、《6/反旗》(レモニカ)、《7/血紅星》(ネスティコア)、《8/王》(ドリアーナ)については自分では納得する理由を見つけられませんでした。これらはなぜその数字とこのキャラクターなんでしょうか…?別に意味がなくても美しい新規イラストがあるだけで嬉しいのですが。

その他用語や文章について

この世界の占星術師たちが愛用し、人々の運命さえも翻弄すると伝えられているカード「フェルヴェール」。 ある巡礼者によって創られたとされるそのカードの、暗示と意味を紹介します。

Cross Lords 説明書P18より引用

フェルヴェールはブレイドロンド 剣の伝承5 (《秘蹟剣》の伝承)ではミルドレッドの剣の銘として出てくる名前で、ミルドレッドはブレイドロンド 剣の伝承2 (《ブラッディダリア》の伝承)では諸国を回っていたようなので巡礼者という表記もおかしくないのですが、なにか関係があるのでしょうか。それともたまたま名前がかぶっただけなのでしょうか。あるいは竜王の名前がその山の名となったファゴラントスのように、剣の名前が伝承の中で変化していっただけなのでしょうか。気になっています。


アナスタシア

対外的な宣伝、情報操作、認知と幻影を司る《まろび丘》を統べる大魔女、を装った人間。

Cross Lords 説明書P17より引用

お前魔女じゃなくて人間かい!…と思ったのですが、大魔女の中に普通に人間がいたらもうバレてますよね。人間に対して強い憎しみを持つヴェロニカなら多分人間だとわかったら普通に始末していると思うので、この情報も操作されていて普通に大魔女なんだろうと思っています。本当に人間だったらとんでもないやつです。


フィスティ

歴史の記述や「剣」の物語を司る《図書館》を統べる大魔女。

Cross Lords 説明書P17より引用


「食らって悶えろ……必殺、《夢幻龍狂乱爪》!」

ソロ用カード《あたしの名は フィスティ》より引用

そんな必殺技が書いてある剣の伝承知らないぞ。図書館においてあった漫画のセリフ読んでるだけなのでは?かわいいですね。

全体の所感

山札のあるカードゲームをするにあたって運で負けたと言うのは当然あるものです。しかし、Blade Rondoシリーズ本編では選んだ手札によっては戦略上イデアにそもそも勝てないと言うのはありましたが、基本的にわかりやすい運負けというものは少なかったため、序盤が運に大きく左右されるところは少し意外に感じました。

外伝作ですし、ソーディアが生死を賭けて戦うのではなく魔女たちがどうでもいい人々の命を賭けて戦っているだけなので、運の要素が多少強くても別に彼女たちにとってはかまわないということなのかもしれません。

逆に運要素が少し強くなったことと、はじめに手札を考えなくても良いことから、さっと出して遊ぶにはちょうどいい作品だと思いますし、初心者にもおすすめしやすい作品だと思います。「Blade Rondoシリーズはゲームもイラストも最高だからおすすめしたいけど、最初からめちゃめちゃ考えるゲームだからおすすめしにくい…」とはたまに感じていたので、カジュアルに遊びやすく世界観を共有しているゲームが出たことはとても嬉しいです。

せっかくの対戦ゲームなので2人対戦ももっと楽しみたいです。ゲームマーケットの購入直後に2人対戦をしましたが、星くずを出したターンに使い切らなければならないというルールを見落としていたため、全く違うゲーム感となっていました。それはそれで楽しかったのですが、今度は正しいルールで遊びたいものです。