とけているばしょ

tolt_santyokuのやったゲームの記録

Lemures プレイレポート

ゲームマーケット2021秋に行ってきました。

目当てはDomina Games様の新作『Lemures(レムレース)』です。Blade RondoシリーズにGeminoaと、Domina Gamesとゲームデザイナーのポーン氏に感謝を捧げてきた私は、新作を買うため1500円を追加で支払い早期入場し、新作とプレイマットとスリーブとBlade Rondo用コインを手に入れてきたのでした(カレンダーとおしゃれな紙袋もおまけで付いてきました)。プローディアちゃんかわいい!

すでに満足度が突き抜けている

そういうわけでLemuresのプレイレポートをこの下に書いていくのですが、このゲームはネタバレ防止に気をつけた設計となっているため、購入を決めている方は初プレイの楽しさを失わないためにも読まないことをオススメします。

あと公式サイト(https://www.dominagames.com/lemures)を先に見て雰囲気を掴みましょう。

初対面

箱を開けると説明書とは別に初回用セットアップガイドがついてきます。いきなり「注意!」と大きく書かれた紙が出てきてびっくりしますが、裏面を見ると「初めて遊ぶ場合はこのガイドに従ってゲームの準備をしてほしい」というメッセージが書かれています。「カードの向きを変ないでほしいし指示があるまでシャッフルもしないでほしい」とも書かれています。

不気味なイラストとセットなのでびっくりします

このゲームは城を探索して攻略していくゲームということなので、プレイする前からどんなゲーム性かわかってしまっては探索を楽しめないということでしょう。どんなゲームも初めて入るマップは迷ったほうが楽しいことが多いはずです。

「知らずに見てうっかり先にある要素がわかってしまった」という事例は同ブランドの『Blade Rondo Lost Dream』で発生していました。ソロプレイ用カードがちゃんとあるか確かめようとすると、カードのテキストを確かめるつもりがなくてもソロプレイのネタバレを食らってしまう場合があるのです。

その反省なのか、そもそもLemuresは対戦ゲームではないからなのかはわかりませんが、このセットアップガイドを同梱するという取り組みはとても効果的だと思います。一体これからどうなるんだろうという興奮も同時ついてくるので一石二鳥ですね。(もしDomina様の他のゲームで似た試みをしていたら知らないだけです。すみません)

セットアップ

Lemuresの箱は単行本程度のサイズがあり、文庫本サイズであったBlade Rondoよりも大きい商品です。箱の構造がよりリッチになっているだけではなく、コンポーネントやカードの枚数も多めです(カード80枚程度、小物4種、ゲームボード3枚)。

ゲームをする上で必要な広さはちょうどプレイマットの大きさ程度で、並べると下の画像のようになります。少し複雑に見えますが、ゲームをプレイすればあまり動かすこともないため割と単純な配置だということに気が付きます。上部においてあるダンジョンカードを重ねる、プレイエリアを狭くするなど多少省略することでスペースがもう少し狭くてもプレイ可能だと思います。

買ったプレイマットにぴったりサイズ!

プレイヤーキャラクター

ゲームをするときに決めなければならないのが自分がプレイするキャラクターです。 Lemuresはパッケージに描かれている姉妹、デリューゼとミルミアのどちらかを選択してプレイします。 姉妹のどちらを選ぶかで初期ステータスや初期カードが変化しますが、最初は見た目で選んでも良いでしょう。ちなみに私の初プレイ時は、ミルミアの名前がフィルヴィア(Geminoaのプレイヤーキャラクター)と混ざっていました。恥ずかしい。

ごく簡単にキャラクターの説明をすると、デリューゼは体力が高く敵の猛攻を耐えることができ、ミルミアはソウル(消費すると1ドローできる)が多く追加ドローで有利を取りやすいデザインです。

どちらで遊んでも楽しい

初プレイ時は友人と2人でプレイしてミルミアを選びました。追加ドローも体力もこのゲームでは等しく貴重なリソースのため、友人の操るデリューゼとともに、その性能によって救われたり苦しんだりしていました。

ゲーム進行

ゲームは以下の2つの処理を繰り返して進行します。

  1. インタールード
    1. ライフ回復
    2. カード獲得
  2. カード効果処理
    1. イベント
    2. 精霊との遭遇
    3. 敵との遭遇

インタールード(interlude, 幕間)では、持っているジェムを利用してライフの回復をしたり、新たなカードを獲得してデッキを強化したりできます。ジェムは主に敵を倒すことで獲得することができるため、インタールードは体力やソウルを消費した後に、報酬の使いみちを決める場面ということになります。

ここでデッキに追加できるカードには「理性カード」と「本能カード」があり、「理性カード」は器用なカードが多く、「本能カード」はより攻撃的な性能を持ちます。上手に選んで最強のデッキを作りましょう。

インタールードの後は場においてあるダンジョンカードをめくって処理を行います。ダンジョンカードにはなにか有益な事が起きるイベントカード、ジェムを消費し役に立つ精霊を獲得するかジェムに変えてしまうかを選べる精霊カード、戦闘を行って報酬にジェムを得る敵カードの3種類があります。

《天使》は報酬でジェム1つを獲得、《メルキス》は獲得にジェム4つが必要

先述の通りジェムは敵を倒さなくては手に入らないため、自分のデッキに強力なカードを追加したり有益な精霊を獲得したりするためには戦闘を避けて通れません。しかし、報酬は良くても自分のリソースに対し遥かに強い敵が出てきたら?獲得したい精霊が出てきたのにジェムが足りなかったら?

大丈夫です。敵からは(少しダメージは受けますが)逃げることができますし、精霊もジェムに変えず判断を後回しにできます。そして、このゲームは一つの階層を探索し終わったとしてももう一度探索することができるため、また彼らに出会うことができます。

稼げるリソースと失われるリソース

このゲームは同じ階層を何度も探索することができます。しかし、周回ペナルティとして最大ライフが減ります。最大ライフなのでインタールードでの回復では対策になりません。

そして、強力で報酬が多い敵はだいたい一度倒すともう一度戦うことができません。一度ジェムに変えてしまった精霊も戻ってきません。得るものと失うもの、つまり追加のジェムや逃した精霊の再獲得と、最大ライフのどちらが重いかを判断しなくてはなりません。

この要素はゲームをより奥深くしています。運ゲーになりすぎない救済措置であるとともに、欲を出しすぎれば溺れていきます。プレイ中に心地よい苦しさをたくさん感じることができるでしょう。

ジェム以外の能動的に失えるリソースとして、自分のデッキがあります。「瞑想」という行動があり、これはデッキの残りが7枚以上になるように任意の枚数捨てることができるというものです。強いカードを獲得して、不要なカードを処分することで強いデッキを作っていくこともこのゲームの楽しみの一つです。

ゲームのクリア

ダンジョンをすべて攻略すればゲームクリアというわかりやすいクリアルールなのですが、公式サイトの説明にもあるように、理性に従うか本能に従うかでエンディングが分岐します。つまるところ理性カードと本能カードをどう獲得していくかということです。

実際に見たいエンディングの条件を満たすことを目指してプレイすると、序盤からエンディングを見据えてデッキを作る必要があり、その場でデッキの方向を変えられない都合上クリアが難しくなります。序盤から強い敵を引いて消耗したのに強いカードを諦めなくてはいけない時も出てきます。

エンディングの分岐が存在するとともに性能の違うキャラクターが2人いることは、このゲームを複数回クリアするまで遊ぶ理由になっています。2人プレイはエンディング分岐はありませんが、協力の仕方が毎回変わるので飽きにくいでしょう。

ソロ初クリアは理性に従いました(カード詳細はぼかしてあります)

プレイに関係のないこと

ゲームシステムについてはこんなところにして、このセクションではフレーバーテキストとかゲーム内行動の意味とか色々思ったことを書いていたのですが、どうやっても既プレイ向けにしかならないので全力で既プレイ向けに書きました。これから自分で買って楽しみたい人はもうはじめのセクションでいなくなっていると信じていますが、クリック展開式にしておきます。

所感

ゲームマーケットで購入後、すぐに一緒に来た友人とカラオケボックスに入り、このゲームの2人用モードをプレイしました。 ゲームマーケットでたくさん歩いて疲れたと思っていましたが、気がついたら2時間ほどじっくりとプレイして結果として運良くクリアまでたどり着き、喜びとゲームへの驚きを噛み締めていました。 初見プレイ時の体験に重きを置かれていることもあり、何も知らずにプレイできて、そしてクリアできたことは幸運だったと思います。

このゲームはSlay the Spireを始めとする「デッキ構築型ローグライク」と呼べるものです。したがって、繰り返し遊びやすいとともに、ある程度のクリアメソッドを作ることができると思います。エンディングのためにカード選択を縛らせるのはプレイ前に難易度を選ばせているということかもしれません。

また、Slay the Spireのように気持ちよく回るデッキを作って敵をなぎ倒していくわけではなく、限りあるリソースを少しずつ裂きながら進んでいく形式のため、プレイ感覚としては原点のローグ(日本的には不思議のダンジョン)により近いのかなと思います。魔蝕虫にモンスターハウスの巻物持ち込めるかと思ったらちゃんと対策されていて笑っちゃいました

あと、ゲームプレイとは関係ありませんが、箱が大きくなったおかげでスリーブに入れても中敷きを外さないと収まらないとかそういうことがなく、スリーブ(KMCハイパーマットクリア)に入れた状態でも小物も合わせてぴったり収まるようなサイズになっていて、これに気がついて家の中でめちゃめちゃ喜んでいました。

ありがとうDomina Games

プレイへの導線、美しいカード、コンポーネント、箱の設計など楽しむための土俵整備がしっかりしているゲームなので、大きな不自由を感じることなく攻略の楽しさとリソース管理を味わえるゲームだと思います。一般販売が開始されたら全人類買いましょう。私はデリューゼでは全エンディングを見ましたが、ミルミアではまだクリアしていないので早くクリアしたいと思います。